文書作成日:2024/04/05
生命保険の家族登録制度と指定代理請求制度の活用
高齢の両親に代わって、生命保険会社に加入状況や保障内容の詳細等を問い合わせたり、保険請求手続きをしたりするにはどうしたらよいでしょうか。
高齢の両親が今後、病気や介護状態、認知症になったとき、両親がすでに加入している生命保険が役に立つと思います。しかし、両親は「保険に加入しているから大丈夫」と言うばかりで、詳しい加入状況を聞いても「よく分からない」と言い、理解できていないようです。私たち子どもも詳しい加入状況を知りません。このような場合、両親に代わって、保険会社に加入状況や保障内容の詳細等を問い合わせたり、保険請求手続きをしたりするにはどうしたらよいでしょうか。
契約内容の照会などができる「家族登録制度」や、代理で保険請求手続きができる「指定代理請求制度」を利用するとよいでしょう。
通常、契約者でないと加入している保険の内容を照会することはできません。また、通常、被保険者など給付金や保険金(以下、給付金等)の請求ができる人でなければ保険請求手続きを行うことができません。そのため、本人に万一があった場合、保険内容の照会や給付金等の請求手続きができずご家族が困ってしまう場合があります。
そのようなときに利用できるのが、「家族登録制度」と「指定代理請求制度」です。
1.家族登録制度とは
家族登録制度とは、事前に契約者が生命保険会社に家族の連絡先を登録しておくことで、登録された家族が契約内容の照会や、手続きのための書類の送付依頼等をすることができる制度です。また、生命保険会社としては、契約者と連絡が取れない場合に、登録された家族へ連絡をすることで、万一の給付金等の支払漏れを防止することができます。
ただし、この「家族登録制度」は、契約者に代わって契約内容を変更したり、被保険者等に代わって給付金等の請求をしたりすることはできませんのでご注意ください。
2.家族登録制度に登録できる家族の範囲
「家族登録制度」を利用する際、登録できる家族の範囲は、「配偶者」「3親等以内の親族」など限定されている場合がほとんどです。その範囲は生命保険会社によって異なりますので、ご契約の生命保険会社に直接ご確認いただくとよいでしょう。
また、いつの間にか登録範囲から外れている可能性もあります。定期的に確認を行いましょう。
3.指定代理請求制度
「指定代理請求制度」とは、事前に契約者が生命保険会社に代理人を指定することで、一定の事情が生じた場合に、被保険者に代わってその指定された代理人(以下、指定代理請求人)が保険金等の請求手続きをすることができる制度です。この制度を利用するには、受取人と被保険者が同一の契約で、保険金や給付金を受け取れない事情がある場合等、一定の条件が必要となるため、注意しましょう。
どういった保険でどういった場合に利用できるかは、生命保険会社によって異なりますので、確認いただくとよいでしょう。
4.指定代理請求制度に指定できる家族の範囲
「指定代理請求制度」を利用する際、指定代理請求人として登録できる家族の範囲は、被保険者の「戸籍上の配偶者」「直系血族」「3親等以内の親族」などです。その範囲は生命保険会社によって異なりますので、ご契約の生命保険会社に直接ご確認いただくとよいでしょう。また、いつの間にか登録範囲から外れている可能性もあります。定期的に確認を行いましょう。
万一があったときの生命保険が、万一の際に利用できなければ本末転倒です。本人の代わりに照会したり、請求したりすることができるご家族を事前に登録し、万一に備えましょう。
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